■大谷と千葉の出会い

大谷能生(以下O):えーと、EastWorks(*1)から俺のプロデュースのコンピレーションを出した時ぐらいだよね。
千葉広樹(以下C):「ル・ソン・ソバージュ」?(*2)
O:そうそう。あのころ結構勢いあったんだよね。ちょっとね。あの時が2006とかだと思うんだよね。で、その時に会ってるはずだから。飛頭(*3)とか。レコ初のライブもやったし。
C:(ネットで調べながら)2005ですね。
O:だよね。2005とかだよね。
C:うん。
O:12年前だ。12年ですよ。あれから。それからいろいろありまして(笑)、最近は二人とも舞台の作品とかね、いろんなことやるようになって、で、それと同時にブラックスモーカーからアルバムを出す。と。いうことで新譜の話を少し千葉君とするということで。kineticの新作については、僕があらためて千葉君にメールでインタビューする感じで、今回は「Jazz Alternative」の楽曲についてです。


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■「Jazz Alternative」

C:じゃあ、その、新譜の話をしてください。「JAZZ ABSTRACTIONS」(*4)の続編?
O:はい。2枚まとめて聴いていただきたいと、ほんとは思うんですが。
C:今作はどんな感じですか?
O:相変わらずです。今作は、作り始めたら3ヶ月ぐらいで、あっという間にできたというか。3ヶ月もかかってないね。
C:まじすか!
O:はい。
JUBE(以下J):頼んで、すぐだった気がしますね。
O:10月に作り始めて、12月に出たから(笑)。
C:2ヶ月もないじゃないですか。すげぇ。
O:いま作ってるんだ、的な話をして、1曲2曲デモ聴いてもらって。で、そしたら、JUBE君が12月、暇なんすよ、って。出すもんないんで、その月に出せませんかね?みたいな話になって え、まじで? じゃあ、分かりました、みたいな。
J:言ってみるもんですね。
C:さすがですわ。
O:(聴きながら)これ1曲めで、これが一番最後に作った。




■ 1.「False Start」

C:ふーん。
O:蓮沼フィル(*5)の時にさ、渋谷のWWWでさ、空き時間にレコ屋に行って、パーカーの未発表曲集(*6)買って来たよ、って言ってた時あったじゃない。
C:言ってましたね。
O:あれ。
C:あれ(笑)。あれなんですか。
O:あれ。あれが10月とかでしょ。
C:はい。10月ですね。まじで?! これ、そのまま?
O:そのまま。3回ループしただけ(笑)。あとちょっと編集して。



■2.「Third world pacific stream」

C:へぇぇ。…(2曲目に移る)今回は、アルバム用に全曲書き下ろしですか?
O:書き下ろしと言うか、作りたてですね。ちょこちょこ毎回、ライブ用にトラックは作ってるんですよ。なんだけど、ひとかたまり、テーマが決まって、同じくくりのものが12曲ぐらいあるとさ、アルバムになるな、みたいな感じで。また「ジャズ」くくりでいけるかな、みたいに思ってアルバムにしたくなって。
C:なるほどね。
O:これはサードストリーム(*7)とパシフィックレコード(*8)っていうさ、西海岸の音楽を使って。
C:なるほどね。ガンサー・シュラー(*9)。
O:ガンサー・シュラーもいますね。この中に(笑)。
C:そのへん。そう言えば、あのへんの、「JAZZ ABSTRACTION」(*10)みたいなアルバムなかったでしたっけ?
O:あるある。というか前作はそれが元ネタ。「JAZZ ABSTRACTION」っていうアルバムがあるのに、それを前回音楽としては使わなかったから。それを使おうと思って(笑)。
C:元ネタ。
O:そう。それ。それと、ジェリー・マリガン(*11)の1枚めのカルテットの音を使ってる。使ってるって言うか、ブレイクビーツはそれです(笑)。
C:大丈夫ですか。
O:大丈夫か? 分かんない。それにチェット・ベイカー(*12)の声を重ねているという。
C:大丈夫ですか(笑)
O:いやぁ分かんない。ダメだと思うんだよね。「レッツ・ゲット・ロスト」(*13)っていう有名な映画から抜いて来た声を使ってる。ダメだと思うんだよね(笑)。あのー。ジャズの中でも、サードストリームとかさ、ヘンなムーヴメントがあったんですよ、昔。クラシックとジャズの融合とかって言って。弦楽が入ってる上にオーネット(*14)とエリック・ドルフィー(*15)が入ってるみたいなさ。オレはけっこうそれが好きなんだけど、誰も聴いてくれないから。じゃあビートでもつければ聴いてくれるかな、と思って。
C:なるほどね。あれは60年代なんですか。
O:50年代終わりから60年代頭。でもハードなのはオーネットのデビュー以降だから62、3、4って感じなんだけど。こういうのです。こういうサウンドなんだよ。映画音楽みたいなんですよ。12音(*16)とかやる訳。その上でオーネットが吹いたりする訳。結果としてホラー映画の音楽になるっていうさ(笑)。よくあるパターンなんだけど。それが好きなんだけど。誰も聴かないからっていうんで。じゃあ勝手に聴かせようかってことで(笑)。意外とまだ怒られないね。
J:これ、言っちゃったら怒られると思うんですけどね(笑)。
O:載せちゃった(笑)。
C:このへんノーカットで(笑)。







■3.「Millford Mustang」

O:まぁ、そういうので、各トラック、各テーマで、頭の中でバーッと出来るんですよね。全体のイメージが固まると。
C:なるほどね。
O:これ使って、こいつ混ぜて、こうやろうっていうのがさ。
C:それってもう、その音源と言うか、元ネタを聴いた段階で、そういう発想と言うかイメージと言うのは。
O:イメージはあるよね。いつも考えてるから。
C:けっこうすぐ出来る。
O:ぼんやりしてる時に、はっ!って。これとこれを使って。あ、これとか(曲に反応して)。
C:これ?
O:これ、ミルフォード・グレイヴス(*17)のドラムソロなんです。
C:はい。ドラムソロ。最高すね、あれ。
O:ドラムソロを聴きながら、SK-1(*18)で完コピしたんです。カシオの。DAWに貼って、波形で見て、打点コピーして、ひとつひとつ手で打って、こうやって編集して。
C:はははは(笑)。やべぇ、それ。
O:ミルフォード・グレイヴス対カシオトーンっていう。
J:闘いですね。
C:やばいっすね。これ、かっこいいわ。SK-1って。
O:ピッポピッポって。カシオトーンで、完コピと言うか、負けないぞ、みたいな(笑)。ミルフォード先生対オレのカシオトーンのデュオっていう。
C:やべぇな、これ。あのアルバム最高ですよね。
O:うん。そうそう。ミルフォードのESP(*19)から出てるやつ。これは他にも使ってますけど。
C:やばいやばい…(※聴いてる)。
O:こういう曲ばっか入ってます。
C:ははは(笑)。すごいですね。
O:アイデア…。何て言うかね、短編集みたいなもので。筒井康隆とか……こいつとこいつを闘わせるとどうなるんだろう?とかね。
C:なるほどね。
O:山田風太郎の魔界転生という小説があるんですけど(*20)。宮本武蔵とかが蘇ってくるのね。悪いヤツになって(笑)。




■4.「Fragment of I.T」

C:やばいすね。
O:そうなんですよ。
C:そういう感じですか。
O:うん。で、これは、トミタです(*21)。久しぶりにレコード聴きなおしてたら、あ、トミタで一曲作れるわ、と思って。
C:おおお。
J:なんですか、トミタって。
O:冨田勲。死んでしまいました。
C:シンセサイザー界の権威がいて。
J:死んだら使っていいんですか?
O:使えない使えない(笑)。使える訳ない。絶対。勝手に。すいません。
C:ちなみに僕の大学の名誉教授でしたね。
O:ああ。
C:2回ぐらいお会いしたことあるんです。
O:シンセの、もう、偉い人、と言うか。シンセじゃなくても偉い人。日本を代表する音楽家のひとり。この音が良いからさ。つい使おうと思ってさ。これが一番アウトだと思う。はっきり使ってて(笑)。ドビュッシーを冨田さんがシンセでカバーして、全米で1位を取ってるんだよね。たしかね。1位は取ってないのか。
J:これ、たしか、ダイジェストに入ってて…。
O:そう。それ聴いて、あ、これ、やばいなぁ、と思った(笑)。一番分かり易いの入ってるな、、、。
J:素晴らしいのでつい選んでしまいました。
O:これ完全に冨田サウンドなので、知らない人でも、お?って思う。これがキャッチーですよね。
C:もう完コピしましたって言えばいいんですよ。
O:無理だよぉ。それは無理だよ。これはだって、ピッチも変えてないもん。たぶん。
C:やばいすね(笑)。言い逃れしようがないですね。
O:言い逃れしようがない、、、。shazmで出てくる。たぶん。冨田の月の光って出てくるよ。絶対(笑)。
C:やばいやばい。
O:今回のはね、前回に比べて、自信を持ってアウトと言える(笑)。







■5.「Campany Week」

O:これはね、カンパニー(*22)の即興演奏。カンパニーってあるでしょ? デレク・ベイリー(*23)の。
C:ああああ。分かんないですね。
O:カンパニーの音源を切り貼りしたやつに、ちょっとエレクトロニクスを入れた。カンパニーの人達を全部並べてみたって言うか。
C:なるほどね。
O:手短に並べてみました。長いから、みたいな(笑)。デレク・ベイリーの音源が、デレク・ベイリーを聴きたい時はこれが一番いいですよ、って感じの。
C:なるほどね。
O:いいとこだけ拾ったから(笑)。ほら(※ちょうどギターが鳴った)。
C:ベイリーですね。
O:ベイリーでしょ(笑)
C:うん。
O:これもNGかなあ。あのー、パロディー小説とかあるじゃないですか。音楽でやったらどうなるかな、っていう。
C:オマージュですよね。
O:オマージュ。筒井康隆のさ、「日本以外全部沈没」とか。山田風太郎の明治物小説っていうのがあって。勝手に夏目漱石とか、自分の小説に出すの。
J:Gravedigger(墓堀人)
C:なるほどね。
O:山田風太郎さんが。
J:勝手に人様の墓を。
O:はい。シャーロック・ホームズ対夏目漱石とかやる訳よ。
C:無茶苦茶ですね。
O:いや、おもしろいんですよ。「黄色い下宿人」っていう小説があるんだけど(笑)。ロンドンで、シャーロック・ホームズ小説のパスティーシュで、ホームズと夏目金之助が推理合戦をするという小説があって(笑)。要するに、そういう、ちょっと捻った、あったらおもしろいかな、みたいな感じのやつがやりたくて。ミルフォード・グレイヴス対SK-1とかさ(笑)。
C:なるほどね。
O:聴いてみたかったとか、あるじゃない。
C:あります、あります。
O:誰と誰を闘わせたいとかさ。
C:はいはいはい。ある種の架空の何かの…。
O:闘ったら、どっちが強いかな、みたいなさ。ほら、宮本武蔵と誰かを闘わせたらどうなるかな、とか。グラップラー刃牙だけど(笑)。
C:なるほどね。最近のバットマン対スーパーマンみたいな。
O:そうそう。最近のアメコミの映画のシリーズみたいな感じですよ、と言いたい。権利は取ってませんけど。
C:はははは(笑)。
O:よく見ると、ちょっとパチモンみたいな(笑)。いや、ホンモノなとこが問題なんだけど(笑)。パロディ小説とかパロディ漫画とか、二次創作とか、あるじゃないですか。マンガだと同人誌いっぱい出てるのに、別に訴えられたりしないじゃない。してんのかな? エヴァンゲリオンと何とかを闘わせたら、どっちが強いとかさ。よく分かんないけど(笑)。



■6.「AEOC」

C:これは?(※次の曲に)
O:これはね、AEOC。(*24)
C:え?
O:アート・アンサンブル・オブ・シカゴ。
C:ああああ。
O:あれもだいたい長いから、オレがダイジェストにしました(笑)。
C:無理矢理。
O:良いところを。オレが聴きたいところだけを3分にまとめてみました(笑)。オレがいいなぁと思ってるAEOC、シカゴ派を。CDJで3分にまとめてみました(笑)。
C:やばいすね。ある意味、フリージャズ入門みたいな。
O:フリージャズ入門用。いやいや、フリージャズは録音で聴くと長いから。良いとこだけ押さえて、クラブ対応と言うか、ちょっと、パッと聴けるようにして。わざわざ(笑)。
C:はははは(笑)。
O:オリジナルをね、気になったら、そこから入ればいいじゃん。
C:そういうことですよね。
O:タイトルにだって、AEOCって書いてあるんだもん。全部書いてある。書いてあるんだから。全部ここにちゃんと。
C:ほんとだ(笑)。やばい。MJQとか…。
O:MJQとか書いてあるんだから(笑)。



■7.「ESP/LSD/ECM」

C:ECM(*25)とか書いてある。
O:ECMとESPを、レフトとライトに振って、こっちのステレオとこっちのステレオに置いて同時に聴くと、音がおもしろいかな、と思って(笑)。
C:なるほどね(笑)。やべぇ、それ(笑)。狂ってますね。
O:それでちょっとやってみたんだけど、それだけだとなんとなくイメージがハッキリしなかったから、真ん中にティモシー・リアリー(*26)の朗読を入れてみた(笑)。
C:なるほどね。狂ってますね(笑)。
O:LSDについて語るティモシー・リアリーが真ん中にいて。左側がECMのオレの好きなサウンドで、右側にESPの好きなサウンドがずっと鳴ってるっていう。
C:まぁ、ある意味、すごく多幸感のある…。
O:多幸感。そう。もう夢のようだよ。ほんとに。天国みたいだよ。オレにとって。
C:まぁね、すごいなぁ。発想がやっぱね、すごいよね。そういうとこがね。
O:ティモシー・リアリーの朗読もすごい良いんですよ。
C:ECMは誰ですか? ちなみに。
O:ECMはいろいろ。俺のECM。ポール・ブレイ。ヤン・ガルバレクとヒリアード・アンサンブルとか、エバーハルト・ウィーバーとか。ジョン・サーマンとか、ギスモンチとか、ヘイデン(*27)とか…で、それとESPのアラン・シルバとか、アイラーとかが、こうステレオで同時に鳴るっていう……まあ、みんなそういう曲で、これはそういうアルバムです(笑)。1曲1曲、知ってる人が聴いたら、けっこう聴き応えがある、ジャズマニア向けなんだよね。元ネタを探せ!みたいな。謎が深まると思うんですけど。
C:おもしろいですね。
O:あ、いまの叫び声、クロマニヨン(*28)。
J:クロマニヨン(笑)。
O:クロマニヨンっていうバンドがあるんです。バンドと言うか、謎の、ESPから出てるレコードがあって。
C:へぇぇ。
O:ほんとにわかんない。その人、何の人達なのか、全然。
J:はは(笑)。
C:え? クロマニヨンって今のバンドじゃないバンドで?
O:全然違うバンド。
C:いたんですね。
O:って言うか、クロマニヨンっていう名前で、1枚だけアルバムが出てて。
C:まじすか。
O:うん。全然分かんないの。
C:クレジットも。
O:クレジットも一応載ってるんだけど。ヒッピーなんだよ。たぶん。で、コミューンの音楽みたいなのなの。現地採集みたいな感じで。
C:ああ、やばいですね。それ。
O:ESPってそういとこあるじゃん。ほんで、その真ん中で、ずーっと、淡々と、ティモシー・リアリーが、LSDを飲むということを語りかけてるっていう(笑)。夢のようなサウンド。オレが聴きたい、頭の中で鳴ってるサウンドなんだよ。これは。
C:大丈夫ですか?
O:こういうの、あったらいいなと思うじゃん。
C:まぁまぁ、ね。うん。
O:思ったので、作ってみました。



■8.「WR」

C:ちなみに、この8曲めの「WR」っていうのは。
O:WRって何でしょう?
C:ウェザー・リポート(*29)ですか?
O:ウェザー・リポートです(笑)。当然。
C:うん。
O:まぁ、ジャズ・ファンなら速攻分かるよね。ワールド・レコードではありません。ウェザー・リポートです。
C:まぁ、そうですね。ウェザー・リポート。最高ですよ。
O:一番、作ってて、楽しかった。ウェザー・リポート。やっぱ、リズム良いんだよね。ウェザー・リポートね。
C:ジョー・ザヴィヌルって。
O:HIPHOPな感じがあるよね。
C:ああ。あの人、右手と左手が同じように動くらしいんですよ。ピアニストなんですけど。
O:ああ、そうそうそう。
C:だから、鍵盤の配列を逆にしたシンセで、右手でベース弾いて、左手でメロディ弾くっていうことを、ウェザー時代にもうやってて。
O:それで「バードランド」とか作ったんでしょ。
C:そうそうそう。っていう、すごい人なんですよ。
O:キチガイだよね。
C:キチガイ。
O:オーストリア人なんだ。
C:オーストリア人ですね。
O:ナチス政権下でピアノの勉強してるからね。あの人。田舎から英才教育で引っこ抜かれて来て。で、敗戦後に亡命。あ、留学か。まぁ、ほぼ亡命だよね。
C:やばいっすね。これ。元ネタ分かんねぇや(笑)。
O:けっこう昔の。75年とか。あ、いまショーターが来ましたよ。
C:かっこいい。これ。
O:これはね、ベースはアルフォンス・ジョンソン(*30)ですね。全部言っていいのかしら(笑)。ベースはアルフォンソ・ジョンソンで、でも、ドラムはピーター・アースキン(*31)なんだよ。夢のリズム隊なんですよ。ミステリアス・トラヴェラーとか、プロセッション(*32)とか、いろいろな時期のウェザー。
C:ああ。かっこいいっすね。これ。
O:うん。これはHIPHOPのブレイクビーツとして使えるかもね。一般的に。ラップ乗せられそう。



■9.「MJQ」

C:あ、これはMJQ(*33)。もう次に行っちゃったんですね。へぇぇ。
O:MJQ研究として、オレ、ジャズ喫茶の、四谷のいーぐるで発表したことがあるんだよね(*34)。ジャズおじさん達の前で(笑)。
C:はははは(笑)。それは納得を得られたんですか。
O:納得を得られたんですよ。あのね、6時間くらいやったんですよ。
J:6時間?!
O:もうね、だんだん、みんな、へとへとになって来ちゃって。ジャズおじさんがへとへとになっちゃうんだけど。
C:質問とかして来るんですか。
O:質問とか最後に受けたんだけど。だんだんね、ジョン・ルイス攻めをしてくとね、あの人、けっこう、何て言うか、聴きとおすのがものすごくハードなんだよね。
C:へぇぇ。
O:つまんなさも含めて。
C:なるほどね。
O:だんだんヘタって来るって言うか。耳が聴きたくなくなって来るのね(笑)。
C:はははは(笑)。何なんですかね。まぁ、それこそ、ジョン・ルイスもね、サード・ストリーム。
O:サード・ストリームの人で。MJQはね、ほんとに変わった音楽で。ジャズじゃないんじゃないかっていう。ロココ調のヘンなアメリカーナっていうジャンルにするのが一番いいっていう。
C:なるほどね。
O:オレの中で、ヴァン・ダイク・パークスと同じ括りの人で。チャーリー・ミンガスとジョン・ルイスとヴァン・ダイク・パークスは同じ箱に入ってるの、オレ。ヘンな作曲家っていう。
C:なるほどね。ヘンな作曲家(笑)。
O:ヘンなアメリカーナっていう。
C:ナニワのモーツァルト的な感じではなくて?
O:うーんとね、何に近いかなぁ。日本で言ったら、何だろうね。まぁ、変わった作曲家、っていう。
C:誰だろうな。日本で喩えると。
O:日本だとね、誰だろうね。クレイジー・キャッツのアレンジしてる萩原哲晶さんとかかなあ。



■10.「What’s Muwandeci?」

C:次のこの「What's Mwandici?」は、これはマイルスですか?
O:いや。ハービー・ハンコックがマイルス・バンドを辞めた後に、何だか分かんないけど、自分のことをムワンデシって言ってたんだよね。よくわかんない。なんで、「ムワンデシとは何か?」っていう曲を作った。
C:はははは(笑)。何ですか。
O:いや、分かんないんだよ(笑)。分かんないんだよね。ムワンデシ・グループっていう。だから、あの頃さ、自分の名前を別名にするのが流行ってて。イスラム教徒とか。だけど、イスラム教徒じゃないみたいで。ハンコックが創価学会に入る前に、バスター・ウィリアムズとかも違う名前で、全員が、分かんないけど、ムスリム・ネームでもない変な名前で演奏してるグループがあって。ヘッド・ハンターズで正気に戻るんだけどさ。正気というか創価学会インターナショナル(笑)。そこに行くまでの過渡期みたいに捉えられがちなんだけど、しかし、これが面白いんですよ。3枚ぐらいアルバムがあるんだけど。
C:ありますよね。
O:うん。謎なんだよね。けっこうな。
C:あれ? 何てアルバムでしたっけ?
O:いまね、ワーナー時代のはパックになってんだよね。これも全部聴くのはけっこうヘビーで、どよーんとくる感じで。つまり、このアルバムは、ジャズの中でも謎が多いグループを取り上げて研究するっていうアルバムなんですよ(笑)。ジャズの千の謎が詰まったアルバムなんですよ。
J:まさか6時間話す気ですか?
O:まじでまじで。
C:ある意味、コンピレーション・アルバムですよね(笑)。
O:コンピ。コンピというか、まぁ、ミックスですね(笑)。
J:かっこいいっすね。
C:素晴らしいですね。
O:ジャズ・ファンの人にもっと聴いて欲しいんだけど。あんまりね、このあたりの目論見が通ってないような気もね……ジャズの中でもいわゆる異端とかさ。あんまりメインストリームじゃない人だけを全部使ったんで。けっこうね、共感は得られない、とか…。
J:どっちなんですか。
O:いやいや。ちょっと弱気になって。どうせ、オレが好きなものはみんな好きじゃないんだよ、って(笑)。
C:いやいや、分かんないっすよ。買うかもしれないすよ。
O:うん。
J:聞くたびに新たな発見がある名盤です。皆さん是非聞いてください!



■11. 「LACY・PARKER・BRAXTON」

C:ちなみに次の「LACY・PARKER・BRAXTON」は……。
O:そのままです。
C:そのままですか。
C:スティーヴ・レイシー。パーカーは…。
O:エヴァン・パーカーですね。
C:エヴァン・パーカーなんですね。で、アンソニー・ブラクストン。
O:そうそうそう。その3人が共演したらいいなって思ったんですよ(笑)。
C:やばいっすね(笑)。チャーリー・パーカーかと思いましたけど。
O:エヴァン・パーカーです。フリー系のサックス奏者で3人って、俺にとってはその3人なんですけど。3人が一緒にやってるのはないんだけど。
C:ないんですね。
O:持ってない。たぶんないかなー。一緒に3人で同時にっていうのは。しかも、オレが好きなブラクストンには、コントラバス・サックスを吹いてもらって。
C:うんうんうんうん。最高ですね。
O:で、レイシーは当然ソプラノで(笑)。エヴァン・パーカーにはテナーを吹いてもらいました。オレの依頼で(笑)。夢の共演(笑)。ちょっとあと、スクラッチとダブも入れてるんですけど。その3人がその楽器の編成でやってくれると、超オレ絶対見に行くっていう(笑)。これがオレの武道館ですよ(笑)。
J:開き直った。
O:自分で作ってて、超かっこいいー、みたいな(笑)。堪らんばい、みたいなさ(笑)。これブラクストン。コントラバス。これレイシー。
C:やべぇ。まんまじゃないですか。これ。これ、夢ですね。夢の共演ですね。
O:夢の共演ですよ。大晦日のK-1みたいなさ。
J:木村政彦 VS コンデ・コマ
O:もともと全員ソロな訳。録音は(笑)。そのなかからオレが一番好きなところを。しかもCD擦ったりとか。フリーの人はさ、ライブだと全然いいんだけど。だいたいにおいて、ちょっとCDだと長いんだよね、って失礼な話なんですけど(笑)。
C:この共演やばいですね。ははは(笑)。
O:ははは(笑)。(※聴いてる)フリージャズ・ファンはもう大興奮ですよ。
C:大興奮なのか大激怒なのか(笑)。
O:大激怒(笑)。これはやばい。お互い反応しないとこがいいんだよね。当たり前だけど(笑)。
C:まったく聞いてない。
O:お互い、全然相手を聞かないでやってるとこがすごいよね。当たり前だけど(笑)。全然相手に反応しないとこが、理想のフリージャズ。
J:なんかうまいこと言いましたね。
O:いや、ほんとほんと。いつまでも聴いてられる。そういう特殊ジャズの詰め合わせと言うか。いろんな人がこう、出てくる人、出てくる人、ヘンな人みたいな感じの映画って言うか(笑)。
C:いいっすねぇ。オールスターですもんね。



■12.「Paul et Annette」

O:これ聴いたことあるかな。アネット・ピーコックとポール・ブレイが、シンセサイザー・ショウっていうのをしばらくやってたんだよね。
C:あああ。はいはい。なんとなく。
O:二人のデュエットで。結婚してた時に。結婚はしてないのかな。付き合ってた時に
C:その時のやつですか。
O:それをそのまんま使った(笑)。ヘンなのよ。それも。その二人が。ポール・ブレイって、わたし、超大好きなピアニストがいて。それが一時期だけ女房に引っ張られてシンセでバッキングしてるんだ。その女の(笑)。
C:アネットはボイス。
O:アネットは歌う。ボイスだね。で、最初からこうやってね、フェイザーとかかかってるの、これ。オレがMIXでかけてるんじゃなくてね(笑)。もともとかかってる。謎なんだよ。これも。
C:謎っすね。
O:謎なんですよ。最初からこの声なの。
C:へぇぇ。
O:そのね、もう、ポール・ブレイの黒歴史とされている、シンセサイザー・ショウっていうのがあって(笑)。やっぱ70年代で、ちょっとヒッピー時代みたいな感じで。いま聴きたい音楽のひとつ。



■13.「Rencanation of a love bird」

C:これは…。
O:これは普通にラップ曲で、これだけは元ネタはほぼないですね。曲名はミンガスからですが。
C:なるほど。
J:これはもう作ったってことですか。このドラムとかも。
O:これは自分で。ほんとは違うライブ用に作ってたやつを、アルバム出すならラップ曲も入れろって言うから(笑)。
J:むちゃ振りパート2。
O:はいはい、って言って(笑)。じゃあこれでやります、みたいな。
C:ふーん。ブレイクビーツ。
O:うん。ジャングルみたいなのを作ろうと思って。これは普通に自分でブレイクを作ろうと。1曲ぐらいはね。引っ掛からないのを入れておこうかと。これがシングルカットだったら、一応大丈夫っていう(笑)。
C:かっこいい。
J:逆にこれ以外は全部まずいってことですよね。狂ってますね(笑)。



■14. Mexican Corpse

C:次の曲は「Mexican Corpse」。
O:メキシコで死んだ人がいて。ギル・エヴァンスとトロツキーと。
C:トロツキー?
O:ロシア革命の人です。レオン・トロツキー。メキシコに亡命して、頭をピッケルで割られて暗殺された人。ミュージシャンじゃないです。家にトロツキーの演説の録音があったんで。それとギル・エヴァンスと、あと一人、ここ数年一緒にやってた室伏鴻さんっていうダンサーの方が、一昨年くらいにメキシコの空港でツアー中に倒れて、亡くなったんで……その3人を追悼してみました。ギル・エヴァンスのエレクトリック期のサウンドがブレイク。
J:その室伏さんのは……去年、山川さん(山川冬樹)と3人でやったじゃないですか。
O:うん。そうそうそう。
J:あれ、音もあるんですか。
O:二人で作ったやつが。1個作品をステージで作った時の音があって、それはオレが持ってて。持っててって言うか、室伏さんの踊りにオレが音楽をつけたやつの、音楽だけが手元にあって。室伏さん死んじゃったから。これはもう未発表だなっていうことで、今回その音楽をあらためてブレイクにしてね。使ってみました。だから、それは自分しか聴いても、どの部分かはわかんないでしょうね。
C:なるほど。へぇぇ。
O:で、ついでだからトロツキーも入れたれっていう(笑)。
C:ついでだから(笑)。
O:メキシコで死んだって言えばトロツキーだなって思って。
C:ギル・エヴァンスもメキシコで?
O:ギル・エヴァンス、メキシコシティで死んでるんだよね。何でか分かんないけど。
C:そうなんだ。
O:これも謎なんだけどさ。病院に行ったのかな。治療しに行って、そのまま死んじゃった、みたいな。なので、メキシコの死体っていう。
C:なるほどね。



■「Nana in the Heliocentric World」

O:これもタイトルそのままで、去年惜しまれながら亡くなったナナナ・ヴァスコンセロスがサン・ラの宇宙をさまようっていうお話です。



■おわりに

O:って言う。紐解けばこういう、著者解説みたいなやつは…。
C:いくらでも出る(笑)。全然違う話なんですけど、大谷さんのHIPHOPのルーツって何なんですか。
O:オレは、正直に言うとクラッシュとヴァディムなんですよね。
C:あああ。そうなんだ。
O:モワックスとニンジャ・チューンなんですよ。イギリス経由で。しかもインストだったんだよね。もうジャズやってたんで、そっちの方がピンときたんですよ。
C:90年代ですね。
O:90年代の2、3年。3、4年とか。
J:シャドウ。
O:シャドウとかで。でもシャドウはね、それほどピンと来なかった、って言うか、ロックぽいなと思って。DJカムとか。だから、イギリスのクラブ音楽として先に聴いたら、一番良かったのが日本人とロシア人だったっていう(笑)。
C:うーん。なるほどね。
O:そこから普通に、HIPHOPの主流に戻って行って。ちょうどその時、ア・トライブ・コールド・クエストのロウ・エンド・セオリーとか出てた時期。
C:そうなんだ。
O:うん。で、そこからそのままブレイク・ビーツの楽しさにハマって。みたいな。だから完全にニュースクールです。ピート・ロックかっこいいな、っていう。C.L.スムースのやつとか。メイン・ソースとかいっぱい。レコード買うのが楽しかったじゃないですか。
C:そうですね。
J:僕もそこらへん、あの年代のレコード、いっぱい持ってますよ。特に94年、95年あたり
O:オレもそこの、90年代のあの辺り、アナログ切られて、バンバン出てたでしょう? 12インチの。
J:2枚ずつ買ってましたね。
O:あれのインストが欲しくてさ。いっぱい。
J:オレもライブで使うのに12インチばっか買ってましたね。
O:ええ。
C:僕もね、実は入り口がそんな感じで。DJカルチャーとか、ヴァディムとかシャドウ辺りで。年代的にもそこがド直球なとこだったんで。だから、そのへんがね、わりと。「ISOLATIONIST」とか。けっこう。
O:そうそうそうそう。かっこよかったよね。



BLACK SMOKER RECORDS 20th anniversary
『JAZZNINO』- 大谷能生”Jazz Alternative”Release Party -
3/26(日) 中野heavy sick zero

LIVE:
鈴木勲×近藤等則×KILLER-BONG
大谷能生×JUBE×BABA
Kinetic (千葉広樹×服部正嗣) ×OMSB
DJ:
YAZI
conomark
VIZZA
VJ:ROKAPENIS
OPEN&START:19:00
DOOR:3000YEN(1D別)
ADV:2200YEN(1D別)

◆前売りチケット◆
【e+(イープラス)】
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002219291P0030001
【DISK UNION(ディスクユニオン)】渋谷、新宿、下北沢クラブミュージック、ショップ
http://blog-shinjuku-club.diskunion.net/Entry/9453/
【LOS APSON?】
http://www.losapson.net/



注釈
(注釈の注釈:この注釈は大谷が検索などせずにテキトーに書き飛ばしたものなので、興味ある方は自分で詳細・正誤などを調べてね!)

(1)EastWorks:イーストワークス・エンタテインメント。日本のジャズ系のCDを90年から00年代に数多く出していたレーベル。アメリカン・クラーヴェなどとも提携していた。2015年くらいに閉鎖。

(2)「ル・ソン・ソバージュ」:大谷がコンパイルした00年代の新鋭バンドのコンピレーション。Gnu、mi-ne、sim、飛頭その他参加。

(3)飛頭:ミドリトモヒデ、菊地雅晃の双頭リーダーバンド。千葉君は当時マチャアキさんのローディーをやっていたので、この時のレコ初で挨拶された記憶がある。

(4)「JAZZ ABSTRACTIONS」:大谷のブラックスモーカーリリース前作。
(5)蓮沼フィル:蓮沼執太フィル。14人編成のポップ・オーケストラ。千葉はヴァイオリン、大谷はサックスでメンバー。
(6)パーカーの未発表曲集:チャーリー・パーカーの、スタート失敗とか録音ミスとかでリリースされてなかった切り落としテイクをまとめたもの。実はこれまでも無数にでているが、また出たのでつい買ってしまった。
(7)サードストリーム:クラシックが第一でジャズが第二で、その融合というか中間というか、なんかそういう「第三の流れ」を目指すというスローガンが一時期のジャズ界ではあったんですよ。ジョン・ルイス、ガンサー・シュラー、それから意外にもチャールス・ミンガスなんかが曲を書いていた。
(8)パシフィックレコード:西海岸ジャズの一大レーベルのひとつ。いわゆる「ウエスト・コースト・ジャズ」の拠点となった。社長のリチャード・ボックは変わり者で「ワールド・パシフィック」というサブ(?)レーベルから、いろいろ変なアルバムが出ている。今回は琴とフルート(バド・シャンク!)のサンプルをブレイクで使用。スクラッチものは『Jazz Abstraction』から。
(9)ガンサー・シュラー:音楽学者で指揮者でホルン奏者。サード・ストリームを牽引した。
(10)「JAZZ ABSTRACTION」:ジョン・ルイス名義のサード・ストリーム・アルバム。前回のアルバムの元イメージ。いま聴いてもかなり謎なアルバム。面子は超豪華。ぜひオリジナルをdig it。

(11)ジェリー・マリガン:バリトンサックス奏者。作編曲の腕も立つ。「一枚目のカルテット」というのはパシフィック・レーベルから出た有名な10inch盤で、なんだけど、この曲でブレイクで使ったのはリー・コニッツが入ってるやつの方でした。勘違い。

(12)チェット・ベイカー:ウェスト・コースト・ジャズのアイコンにして極悪人の天使。詳しくは最近封切りされた映画「ブルーに生まれついて」などを見よう!(パンフで解説書いてます)
(13)「レッツ・ゲット・ロスト」:写真家ブルース・ウェーバーによる晩年のチェットを被写体としたドキュメント。年取ったチェットの顔がすごい。異様な映画。
(14)オーネット:オーネット・コールマン。解説不要ですよね。
(15)エリック・ドルフィー:ちなみにこの二人、このアルバムに参加した同じ日(次の日?)に、同じコンセプトでアルバム『フリージャズ』を録音している。つまりパクった訳だが、あまり指摘されてないのは堂々としすぎてるからだろう。
(16)12音:12音技法のこと。50年代現代音楽の主流。
(17)ミルフォード・グレイヴス:フリージャズ界最強不倒ドラマー。神秘主義者的側面も持ち、ジャマイカの薬草から気功までを操るメンター。70過ぎてまだ現役(だと思う)。

(18)SKー1:小型のカシオトーンで、84年くらいの発売。短いがサンプル機能が付いていて、鍵盤にアサインして鳴らすことが出来る。まだ現役で使ってます。
(19)ESP:フリージャズ代表レーベル。60年代中盤のグリニッジ・ビレッジ周辺のコミューンに集まる奇人変人音楽を記録した作品群は、ほとんど文化人類学的な価値を持つ。
(20)魔界転生という:詳しくはアルバムのライナー・ノーツをお読みください。
(21)トミタ:冨田勲。昨年逝去されました。日本シンセサイザー界の第一人者。「リボンの騎士」のOP曲などでも有名。大ファンです。すいません。訴えないでください!神罰!

(22)カンパニー:デレク・ベイリーらが企画していた即興演奏のコンサート・シリーズ。70年代から国際的に開かれて、たくさんCDが出ている。
(23)デレク・ベイリー:ギタリスト。フリー・インプロヴァイズド・ミュージックを提唱して、生涯そのスタイルで演奏を貫いた。ほんとーに面白いしかっこいい。Dig it.

(24)AEOC:アート・アンサンブル・オブ・シカゴという集団。ポスト・フリージャズ時代にかなり奇妙な音楽の祭典を繰り広げる。現在でもその人脈はつながっており、シカゴ派といえば私はこれだな。後半の声はレスター・ボウイで、この音はすいません「レスター・ボウイ・ブラス・ファンタジー」の日本公演からでした。
(25)ECM:拠点はオセロ。ヨーロッパ(北欧)ジャズ、、、にとどまらない、世界規模での影響を持つ独自の響きを持ったレーベル。レコードの冒頭に三秒の無音があることで有名。まあ、ESPとは対照的な音作りなんでLRに並べると面白いかなと思ったんですよ。
(26)ティモシー・リアリー:「知覚の扉」など、LSDの効能を自らを実験対象として語った教授。アメリカン・60年代カウンター・カルチャーのアイコンの一人。
(27)ポール・ブレイ。ヤン・ガルバレクと、、、:各人名アルバムがECMにあるので、探して聴いてみてください。Dig it。
(28)クロマニオン:『オースティン・グラスミア (lead vocals, music)とブライアン・エリオット(lead vocals, music)という2人のオーバードーズ・フリークスによる『ジャンキーによるジャンキーのためのアシッド・トリップ奮闘記』。ギター、ベース、ドラム、 ヴォーカルなど遠く彼方、音楽などと言う体の良いものは微塵もなし。絶叫、蛮声、哄笑、金切り声、具体音のコラージュ、短波ノイズ。キメるものキメて、そ こら中の物を引っぱたき駆けずり回った三日間を、赴くままにRECした人外のルポルタージュ。嘘か真か、後のRESIDENTSとの噂も、、、』(ディスク・ユニオンの商品レビューより)

(29)ウェザー・リポート:ジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターという、マイルス・バンドの二大「マイルスとガチで対等」に振舞えた二人によって組まれたバンド。この二人以外のメンツはころころ入れ替えられている。メジャーに活躍したのであまりその異端さが取りざたされないのはMJQと一緒。
(30)アルフォンソ・ジョンソン:ベーシスト。ウェザーには「ミステリアス・トラヴェラー」(名盤!)からの2から3枚に参加。
(31)ピーター・アースキン:ドラマー。ウェザーには「ミスター・ゴーン」あたりから参加。シンバル・ワークの美しさには定評がある。ECMにも吹込み参加多数。ジョン・アバークロンビーとのトリオとか最高ですね。
(32)ミステリアス・トラヴェラーとか:ウェザーのアルバムはいまこそ誰かがまとめて聴いて、新見解を打ち出すべき。一番ナゾなのはアルバムのカヴァー・アートのセンスだ、とか。
(33)MJQ:天才ジョン・ルイス率いる黒人によるロココ/バロック・モダンジャズ・グループ。アメリカが生み出したもっとも変態的な音楽のひとつを演奏する。
(34)MJQ研究:【ほんとうはおそろしいMJQ:ジョン・ルイスの奇妙な世界】というタイトルで2015年におこなわれた。プレイリストがこちらにありますね。

http://d.hatena.ne.jp/eaglegoto/20150218/1424213756


以下、いろいろとありますが、疲れて来たので(笑)、省略します。みなさん、ぜひ検索してオリジナル曲を聴いてみてください!

大谷能生





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